女王陛下は溺愛禁止!
 まだ若い女王に求心力などない。ロマスを頼り切りだったせいもあって彼につく貴族は多く、軍部の中にもロマスに着く気配を見せる者がいた。
 魔力があれば、と歯噛みした。ならば魔力を恐れた者たちを配下におくことができただろうに、アンジェリアはまったくの無力だった。

 数少ない味方のひとりがラドウィルトだった。彼の父の友人である王を慕っていたラドウィルトは、なんの目算もなく無心に味方となってくれた。

 謀反を起こされた当初、アンジェリアはロマスに譲位するべきかと悩んだ。国民を戦乱に巻き込みたくなかったのだ。が、ラドウィルトを始め、父の忠臣だった者たちは頑強に反対した。
「王位を欲したのであれば正当な手続きを経て譲位を求めればよかったのです。反乱という手段に出た時点で彼の者に正義はございません。正義のない者に王位を譲れば人心が乱れ、国が乱れます」
 説得に応じ、アンジェリアは抗戦を決めた。

 彼女に忠誠を誓ったラドウィルトはまず引退した老将に交渉した。
 老いてなおかくしゃくたる彼は最初、中立の構えを見せた。

 だがアンジェリアが自ら交渉の場に出たあとは彼女の人柄を見込み、忠誠を誓った。
 高名な老将が味方についたことで軍部がアンジェリアの支持を表明した。
 軍を掌握したことで日和見をしていた貴族は彼女の側についた。
 老将はロマスの率いる反乱軍を退け、各地を平定していった。

 追い詰められたロマスは家族や反乱軍の者たちへの減刑を嘆願し、自ら命を断った。
 だが、アンジェリアは容赦しなかった。
 非情にして冷徹、その名を欲した。国を安定させるために。

 叔父一家を――叛乱に加担しなかった従妹を含めて――処刑した後は反乱軍の主要な人物を処刑し、『冷血女王』と呼ばれた。
一方で貢献した者には多くの褒美を渡した。味方になれば得をする、そう思わせるためだ。
結局のところ多くの人は損得勘定で動く。得なほうにつくのは当然だ。
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