女王陛下は溺愛禁止!
「まあ、そんなこと言いに来たわけじゃないんだけど」
「ではなんのために」
「ラドウィルトを見に来ただけ」
 エアはくすくす笑う。

「ならばもう満足だろう」
「うん。ここからどうあがくのか楽しみにしてるよ」
 くすくす笑いを残して、エアは壁の向こうへ消えていく。
 ラドウィルトは顔をしかめた。

 神を自称する彼。
 まさか彼が本当に神であり、今回のことはすべて彼が遊戯のように仕組んだのだろうか。すべて彼の掌の上なのだと?

 不快な想像に、ラドウィルトはさらに顔をしかめた。

***

 女王陛下が警備隊の詰め所に来た。
 知らせを聞いたグレイソン・ラスター宮廷警備総隊長は口元を歪めた。

 女王がなんの用だというのか。思った直後、気が付く。補佐官を逮捕し、軟禁している件だろう。
 よくない噂もある女王だ。お気に入りを補佐官にして侍らせ、顔だけで決めた道化——間者の噂もある――を侍らせ、隣国の王子を強引に滞在させて関係を持っているという。

 寝所に侍るのを断ったリストンの男は襲撃して殺そうとしたとなど、ろくでもない。
 あげくに隣国の王子を盾にして暗殺を免れたというから、まったくもってあんな女が女王であるなど、論外だ。いっそ自分が王になったほうがましというものだろう。
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