女王陛下は溺愛禁止!
「捜査に手心を加えろと言うお話でしたら承ることはできかねます」
「先回りも甚だしい。勝手な憶測は控えろ」
 ぴしゃりと言われ、グレイソンは口をつぐむ。
 機嫌を損ねたか、と思いはするものの、女王といえど女、男の仕事に口を出されたくはない。

「失礼申し上げました。ご婦人は私情をはさむことが多いもので」
「……貴殿は奥方にもその態度か?」
 侮蔑は感じなかったが、その響きは冷たかった。

「ならば奥方は苦労が絶えぬであろうな。あるいは未婚であるか?」
「それこそ失礼でありましょうぞ」
「貴殿と同じことをしたまで」
 アンジェリアは平然と言い放つ。
 身分のアドバンテージゆえに余裕なのか。グレイソンはじろりとアンジェリアをねめつける。強面の彼に見られただけで女性は震えあがるものだが、彼女は泰然として表情を変えない。

「本題に入っても良いか」
「はい」
「私はラドウィルトがやったとは思わぬ。やる理由もない」
 結局はそういう話ではないか。グレイソンは顔をしかめそうになり、思い留まった。

「それを決めるのは陛下ではありません」
「しかし、そなたが決めるものでもない」
 断言され、グレイソンはあっけにとられた。

「恋に溺れた者はときとして判断を誤るものでございます。ラドウィルト殿も例外ではございますまい」
「軽々な判断はいかがなものか」
「では犯人は誰とお考えであられるのですか?」
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