女王陛下は溺愛禁止!
 そこで不審なメイドのことを思い出す。隣国の王宮にもいたというメイド。彼女がクライド殿下の襲撃に関わっているかもしれない。
 捜査の兵に伝えるべきだろうと立ち上がったとき、窓の外からノックされた。
 窓から覗く人影には見覚えがある。
 ラドウィルトは驚いてバルコニーへと続く窓を開ける。

「マリオン殿、どうしてここに」
 マリオンは口に指を立てて静かにと合図をしてからラドウィルトの部屋に入る。
「上の階の空き部屋からバルコニーを伝って来ました」
 ラドウィルトは面会を禁じられており、訪問は不可能だ。
 だから上階の窓から伝ってバルコニーから訪れたのだろう。人に見られたり落ちたりする危険もあるのに、そこまでして訪ねて来るとは。

「助けに参りました」
 抑えた声で告げられ、ラドウィルトは目を見開いた。

「助け、とは」
「このままでは犯人にされて死刑となります。そうなる前に逃げるのです」
 隣国の王子を暗殺を企図したならば、未遂でも死罪に値する。

「兵たちはなんとしても犯人を捕まえるべく躍起になっております。手っ取り早く手柄を上げるには犯人をでっちあげるのが簡単ですから、このままではあなたが犯人にされてしまいます。妻も心配しております。さあ、お早く」
 マリオンがバルコニーへ招くが、ラドウィルトは首を横に振った。
「行きません」

 マリオンは驚き、尋ねる。
「なぜ。このままでは死刑なのですよ」
「私は陛下を信じています」
「ですが、こういうことにかけて冷酷なまでに公正な方。ラドウィルト殿のために権力を使って無実にするとは思えません」
< 140 / 204 >

この作品をシェア

pagetop