女王陛下は溺愛禁止!
「この縄を切ってくれ」
「俺がそれをするメリットは?」
「異国の珍しい菓子をやろう」
「嫌だ。俺、今機嫌が悪いの。ただの奇術師だって言われて」
 むすっとしてエアは答える。

「人が神を疑うは常なること。今、貴殿は神であることを証明した。こうして助けに来てくれたのだ、これからは神として崇めることを約束しよう」
「ほんとにぃ? 人間ってすぐ嘘つくからさあ」

「少なくとも供えの菓子は毎日欠かさぬようにする」
「……じゃあまあ、縄を切るくらいはしてあげてもいいけど」
 パチン、と彼が指を鳴らすと手足の縄がはらりとはずれた。

 ラドウィルトは自身の手首を撫でる。縛られていたところが痛い。
 エアが現れたということはここは城内のどこかだ。おそらくは地下の使われなくなった独房。

「助かった。ついでに外へ出してくれ」
「要求、多くない?」

「陛下のためだと言ってもか?」
「お前を外に出すことのなにがアンジェリアのためなんだよ」
 エアはぶすくれて応じてくれない。
 あおりすぎたか、とは思うものの、今はエアが頼みの綱だ。

「神ならば私をここから出すことくらいたやすいかと思ったが、やはり難しいのか。いや、申しわけない、貴殿は神として生まれたばかりだとも言っていたのだし、ここはひとつ、自力でなんとかすることにしよう」
 さらに煽ってみたところ、エアは、つん、と顔をそらした。

「なんか腹立つ。『そんなことない、できる』って言わせたいんだろうけど、思う通りになってやらない」
 エアは横目でじろりとラドウィルトを見た。
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