女王陛下は溺愛禁止!
 思考は悪い方にばかり進み、冷や汗が流れる。
 エアはアンジェリアの愛を求めているくせに、最初の暴走以降は大人しい。なにを考えているのかわからない。
 それともまさか、エアは魔力を持った他国の工作員だったのか。だが何種類もの魔力を使いこなす人間がいるなど聞いたことがない。だからこそエアが神であることの疑いを消せなかったのだ。第一、工作員ならばもっとうまく立ち回るだろう。

 必ず助けは来る。
 エアが伝えなかったとしても、ラドウィルトが消えたことはとうに知られているはずだ。警備が捜索している頃だろう。
アンジェリアは――彼女なら、必ず。
 どこまでも深い闇の中、脳裏に浮かぶ彼女は強く強く輝いていた。。

***

「ラドウィルトが逃げただと?」
 臨時補佐官からの報告に、アンジェリアは顔をしかめた。
 彼の隣には警備総隊長グレイソンがいて、報告を続ける。

「いつの間にやら部屋から消えておりました。ドアには鍵がかかっており、バルコニーに通じる窓が開いておりましたので、そこから出たものと思われます」
「窓は警戒していなかったのか」

「階下の地上に兵は配置してございました。ですが、地上に降り立った者はおりません。彼の部屋は三階。そこから消えるとは、魔力でも使わぬ限り無理でございましょう」
 グレイソンが答える。
< 153 / 204 >

この作品をシェア

pagetop