女王陛下は溺愛禁止!
「魔力か……」
 アンジェリアはエアを思い浮かべる。彼ならば連れ出すこともできそうだ。が、エアがそんなことをするとも思えない。
 いや、いつも暇そうにして官僚を驚かして遊んでいるのだ。遊びの一環としてやらかしてもおかしくはない。あるいはラドウィルトがなんらかの策を立て、エアを使って脱出したのか。
 だが、それなら自分になんらかの接触があってしかるべきだ。

「ラドウィルト殿の捕縛の許可を」
 グレイソンが恭しく奏上する。
「もちろんだ。()く捕まえよ。殺してはならぬ。まだ真実がつかめておらぬゆえ」
 アンジェリアは即答した。

「かしこまりました」
 グレイソンは一礼して下がった。
「ラドウィルト、なぜ姿を隠した……?」
 アンジェリアの問いに答える者はいない。

***

 マリオンはクライドのいる客室に向かい、護衛の兵に面会を申し出た。
 最初、それは拒まれた。

 マリオンはクライドとは面識があること、自分が女王の義弟であることを兵に伝えた。
 身分の効果は覿面(てきめん)で、兵はしぶしぶとクライドに確認をとり、結果、部屋に通された。
 人払いをしたのち、ふたりはテーブルを挟んでソファに掛ける。

「殿下、お願いがあります」
 前置きのない言葉に、クライドは怪訝な顔をする。
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