女王陛下は溺愛禁止!
 石に囲まれた通路に、ふたりの足音だけが響く。
 やがて、ひとつの扉の前でマリオンが止まり、クライドも立ち止まった。
「ここにクライド殿を匿っています」
 地下牢のようで、クライドは顔をしかめる。匿うと言うよりまるで監禁だ。

 マリオンが懐から鍵を取り出し、錠前にさす。
 かちり、と鍵が回った。
 錠前を外して扉に手をかけると、ぎい、と重々しく開く。
 中を見たクライドとマリオンは息を飲んだ。

「誰もいない……」
「どうして!?」
 マリオンは動揺を隠せない。

「確かにここにラドウィルト殿を……」
「どこかへ逃げたのか。早く保護しなくては」
「待ってください!」
 マリオンは声をかける。

「あなたにはこちらにいていただきましょう」
 クライドは眉を寄せた。
「どういうことだ」
「ああ、あの男はさっさと殺しておくべきでございました」
 マリオンは悔し気に顔を歪め、懐から短剣を取り出す。
 とっさに逃げようとしたクライドだが、見えない力にぐっと押さえられ、倒れた。

「人を殺すのは初めてです。動かないでください、急所がはずれてしまったらお互いにつらいのですから」
「そこまで!」
 女性の声が響き、マリオンははっと扉を見る。
 そこにはアンジェリアがいて、彼女の後ろからは四人の兵が現れ、マリオンに立ち塞がった。
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