女王陛下は溺愛禁止!
第六章

***

 厨房に行ったエアは料理長に焼き立てのクッキーをわけてもらい、熱い! と言いながら嬉しそうに頬張った。
 冷めたクッキーもおいしいけれど、熱々のクッキーもおいしい。アンジェリアはこんな焼きたてを食べられないんだな、と思うとちょっと気の毒だ。

「今日もいい食べっぷりだな」
 料理長は嬉しそうに言う。
「だっておいしいもん」
 エアは満面の笑みで次のクッキーに手を伸ばす。

「こっちの試作も食べてくれ。プリン味のケーキだ。こっちはチーズを使ったパウンドケーキ」
「どれもおいしそう」
 エアは目を輝かせてプリン味のケーキをかじる。

「うーん、あんまりプリンっぽくない。美味しいんだけど、甘さに頼ってる感じ」
「そうか……もうひとつはどうだ」

「チーズの風味があっておいしい。おやつにぴったり!」
「陛下にお出ししても良さそうか?」
「いいと思う」
 そこへ、部下の料理人が焼きたてのクッキーをかまどから取り出すのが見えた。

「あれちょうだい。アンジェリアに持ってくから。ほんとの焼きたての熱々を食べさせてあげたい」
「そうか、持ってけ」
 料理長はにこにことクッキーを皿に盛り付け、エアに渡す。

「ありがと!」
 エアは約束を忘れて指をぱちんと鳴らして姿を消す。

「あいつの奇術は相変わらずすごいな」
 料理長は感心してつぶやくと、残ったケーキを料理メイドに片付けておくように言い、自分の仕事へと戻った。
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