女王陛下は溺愛禁止!
「息子が王になるというのなら、私が先に王となってその地盤を固めておいてやるべきだろう。そう思ったまでのこと。そもそも女が王になるということが間違っていたのです」
 アンジェリアは嫌悪に目を細めた。
 今までよく気が付かなかったものだ。彼もまた反女王派だったのだ。

「私に政治は向かないと思っていました。だから儀典局に勤めたのですがね……今回のことで気が付きました。女が王になれるなら、私にできないわけがないのだと」
「貴殿が女性蔑視をする男だとは思わなかった。レイジェリーナを愛し、大切にしてくれていると思っていた……」
「彼女のことは愛していますよ。控えめで夫を立てる素晴らしい女性だ。あなたと違ってね」

 アンジェリアは苦いものを噛み締める。
 彼が本心ではそのように思っているなど、まったく気が付かなかった。レイジェリーナも気が付いていないだろう。

 自分は安易だったのだろうか、と歯噛みした。
 自分が幸せになってはならないと思い、結婚を避けた。
 信じられる者に王位を継いでもらいたい、だから甥を後継者にと思った。

 だが、それは責任逃れのひとつだったのかもしれない。
 今さら気が付いてももう遅い。

「陛下、惑わされてはなりませんよ。王位が欲しくてこのような行動に出るなど」
「わかっている」
 どれだけ理屈を並べようと、一方的に非道な手段をとった時点で正当性などない。

 王位など、それほどまでに欲しい物だろうか。
 国を導く正解など誰も教えてくれない。手探りで毎日が不安だ。
 欲しい奴にくれてやりたいと思ったことは腐るほどある。
 だが、それではダメなのだ。
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