女王陛下は溺愛禁止!
「無理がありすぎる」
「権力を手中に収めてしまえば無理も道理となります、ご安心を」
 マリオンがそう言ったときだった。

「アンジェリア、ちゃんと言って来たよ」
 のんきな声とともにエアが現れる。
「あっれー? なにしてんの?」
 その場にいた全員の動きが一瞬止まる。

 マリオンの集中が切れ、アンジェリアの手にかかる負荷が消えた。その一瞬にクライドの縄を切る。
「クライド殿、しっかり!」
 アンジェリアは短剣を遠くへ投げ捨て、クライドに肩を貸して立たせる。クライドはよろめき、うまくは立てない。

「エア! そいつから陛下を守れ!」
 ラドウィルトが叫ぶ。
「ん?」
 エアはマリオンを見て首をかしげる。

「道化が来たところで」
 マリオンはせせら笑う。
 ラドウィルトの捨てた剣が飛び、エアを狙う。

「うわ!」
 エアはとびすさり、剣は地面に突き刺さった。
 ラドウィルトはアンジェリアに駆け寄り、一緒にクライドを連れて岩陰に彼を座らせる。エアは慌てて追いかけて岩陰に飛び込む。

「面倒をかけてくれます」
 マリオンが手をかざすと、剣が空中に浮いた。が、隠れた者には狙いをつけづらいようで見定めるようにじりじりと動く。
< 172 / 204 >

この作品をシェア

pagetop