女王陛下は溺愛禁止!
 抵抗の手段を持たない彼女らは避けるだけで精いっぱいだ。
「ならばこれをどうにかしてくれ」
「俺に愛を誓ってくれたら」
「またそれか」
 同じ返しに、アンジェリアは顔をしかめる。

「……マリオン殿はひとり、こちらは四人、勝機はあります」
 ラドウィルトが言うが、楽観できなかった。クライドは傷を負っているし、エアは気まぐれで戦力になるかわからない。

「封印の解除は、石碑を壊せばなんとかなりませんか」
 ラドウィルトが言うと、エアは慌てた。

「俺の封印の石碑!? やめてよ、もし壊して永遠に封印が中途半端になったらどうしてくれるの!?」
「ほかに活路がないならば、いちかばちかやってみるか……」
「やだ、やめてよ」
 エアは悲し気に訴えかけて来る。

「ならばマリオンの気をひいてくれ。エアならばこの動く石壁を抜けられるだろう?」
「えー?」
 不満そうなエアに、ラドウィルトが言う。

「もしやってくれたら、陛下がおん自らお菓子を作ってくださることでしょう」
「アンジェリアの手作り!?」
 エアが目を輝かせる。
 アンジェリアは、う、と言葉につまる。お菓子など作ったことがない。

「それならあいつの気を引くくらいのことはしてあげる」
「……仕方あるまい。出来は保証せぬが、作ろう」
「俺のためだけだよ、ほかの人にあげちゃ嫌だよ?」
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