女王陛下は溺愛禁止!
「どうにもならないな。ここもいつ崩れるか」
 クライドを座らせ、アンジェリアはつぶやく。

「申し訳ございません。足手まといに……」
「いや、私のせいだ。殿下を巻き込んで申し訳ない」
「間違えてはなりません。陛下が巻き込んだのではなく、あの者が我らを巻き込んだのです」
 クライドは痛みをこらえて笑みを見せる。

 ラドウィルトは退路を塞ぐ岩を押すが、びくともしない。
 岩陰の天井部分もぐらぐらと揺れ、いつ落ちて来るかわからない。

「アンジェリア、俺との愛を誓って」
 エアが焦ったように言う。
「そしたら俺はみんなを助けられるよ。だから早く!」
「エア……」
 アンジェリアは惑い、ラドウィルトを見た。

「陛下、駄目です。神に誓ったならば、どのような制約を受けるかわかりません。神の世界へ連れ去られたなら、我が国はどうなるとお思いですか!」
「そんなこと言ってる場合? こんなときに限って神だって信じるの? このままじゃみんな死んじゃうよ!」
 地下神殿の天上は崩れる一方だ。祭壇は完全に潰れ、マリオンの姿は見えない。彼自身も息絶え、潰されているだろう。

「だから早く誓って!」
 エアが急かす。
 アンジェリアはぎゅっと眉を寄せ、目を細めてラドウィルトを見た。

 エアに愛を誓ったならば、ラドウィルトと結ばれることは一生ないだろう。
 だが、ここで彼を死なせたくはない。
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