女王陛下は溺愛禁止!
 気迫で負けたら終わる。たとえ自身が神の炎に焼かれようとも、氷に凍てつこうとも、アンジェリアだけは助けなければならない。
「神の怒りなど陛下の落命に比べたら怖くはない。望むならわが命を捧げる。陛下とクライド殿下はお助けしてほしい」
 重ねた言葉に、エアは鼻に皺を寄せる。

「お前の命にはなんの価値もない。俺が欲しいのはアンジェリアだけ」
「だから私は、エアに誓……」
 アンジェリアが言いかけた直後、天上が崩れて来た。

「陛下!」
 ラドウィルトがとびかかり、アンジェリアは押し倒される。
 抱きかかえるようにして倒されたアンジェリアは、彼の手に守られて頭を打つことがなく、岩にも圧し潰されなかった。

「ラドウィルト!」
 アンジェリアがとっさに叫んで体を起こすと、ラドウィルトの足は岩に圧し潰されていた。

「陛下……決して誓ってはなりません」
 ラドウィルトの声はかすれていた。

「石碑も崩れているはず。エア、力は戻っていないか?」
 アンジェリアが焦るが、エアは首を振る。

「石碑が壊れたくらいで力は戻らないよ。あんなのはただの象徴だから」
「壊されるのを嫌がっていたのはなんだったんだ?」

「だってせっかくの俺の石碑だよ? 記念に残しておきたいなってなるじゃん」
「このようなときにそのようなことを!」
 アンジェリアは吐き捨て、ラドウィルトを見る。彼の顔からは血の気が引き、苦痛に顔が歪んでいる。
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