女王陛下は溺愛禁止!
「ラドウィルト!」
「大丈夫です。ですから」
 ラドウィルトの笑みはすぐに苦悶に歪んだ。

「エア、エア……」
 アンジェリアは涙が浮かびそうになるのをこらえ、エアを見据える。

「誓えない。ここまでの忠誠を見せられて、私はそなたへの愛を誓えない。そなたのことは好いておる。だが、それは愛ではない」
 エアは答えず、黙ってアンジェリアを見ている。

「助けてくれ、エア。彼を、ラドウィルトを……。国にとって必要な人なんだ」
「それ、本心?」
 エアは不快げに尋ねる。

「もっと違うところに本心があるんじゃないの?」
 アンジェリアは言葉に詰まる。

 クライドとの婚約が本格化したとき、気付いた恋心。
 熱さよりも悲しみに彩られたその気持ち。
 今でも消えずに胸にある。

 だが、それを言っていいのだろうか。女王として国に命を捧げる覚悟だった。結婚などしない、そんな幸せは人の命を奪った自分にはふさわしくないと思っていた。

 だが、このままではラドウィルトが死んでしまう。
 涙の塊が胸につかえているかのようで、痛くて痛くてたまらない。

「かわいいアンジェリア。優しいね」
 エアの声が猫撫で声に変わる。
 彼の瞳が優し気にゆらめき、アンジェリアの髪をやわやわと撫でる。
「愛を誓ってくれたら君の願いはすべてかなえる。こいつらの命も、この国の幸せも。もちろん君を最高に幸せにする」
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