女王陛下は溺愛禁止!
「愛なんて……ましてや溺愛なんていらない」
 恐怖に歪む顔を、エアは愛し気に見つめる。
「君はもうとっくに愛されてるんだから手遅れだよ」
「違う。国の統治に愛なんていらないんだ」
「認めないんだ。ラドウィルトを愛してるくせに」

 アンジェリアは答えられない。ただ泣きそうな目でエアを見た。エアは今までにみたことがないくらいに優しい微笑を浮かべている。
「だけどまだダメ。もう少し一緒にいたいから。俺、思ったよりあいつらのこと気に入ってたみたい」
 アンジェリアの視界がすうっと暗くなり、意識が遠のいた。



 次に気が付いたとき、アンジェリアは自身の寝室にいた。
 夢を見た気がするが、思い出せない。
 ここは、と見回すと医療官の姿が見えた。その後ろには侍女と女性看護官がいる。
 視線に気がついたらしき医療官が振り向き、ぱっと顔を輝かせる。

「お気が付かれましたか!」
「ラドウィルトは」
 アンジェリアは半身を起こし、医療官に尋ねる。
「ご無事ですよ。クライド殿下もご無事でご両名は医務室です」
 言われて、アンジェリアは頭の中がラドウィルトのことでいっぱいだったことに気が付いた。

 ダメだ、これでは王失格だ。
 そう思いはするものの、ラドウィルトの無事に胸には安堵の波が広がる。

「だが、あやつの足はもうダメなのだろうな……」
「足も無事ですよ」
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