女王陛下は溺愛禁止!
「本当に!?」
 アンジェリアは驚愕した。目の前で潰されていたというのに。
 エアか、とすぐに思考が結び付く。

「どうして……」
「エアが知らせてくれたのです。陛下たちが崩れた地下道で倒れていて、それはもう大騒ぎとなりました」
 アンジェリアは驚く。あのときはエアがラドウィルトとクライドを亡き者にしたのかと思ったが、そうではなかったらしい。

 ラドウィルトは結局、エアの真の名を口にしなかった。おそらくは知らなかったのだろう。ただのはったりで、だからエアも言うことを聞かなかった。
 だというのに、どういう心境の変化だろう。

 とにかく、エアはラドウィルトの見立て通り、本当はもっと強い力があったのを隠していたのだろう。その力で自分たちを助けてくれたのだ。
 気が付かない間にエアに愛を誓ったのかとも思ったが、記憶には欠けなどないように思える。そもそも、アンジェリアが愛を誓ったなら、エアは大喜びでそばにいるだろう。

「兵たちも無事でしたよ。神の奇跡としか思えません。あんなに崩れていたのに。不思議と兵たちの記憶が一部途切れていましてね。天井が崩落した前後の記憶がないらしいんですよ」
 アンジェリアは口を閉ざす。あんな絶望的な状況で全員が無事で、なおかつ記憶がないなんて不自然だ。これもエアがなにかしたのかもしれない。

 しばしば非情を見せたエアが、まさか全員を無事に助けてくれるなんて。素直ではないのはエアらしいとも言えるかもしれない。
 不自然と言えば、マリオンが魔力で投げた剣が落ちて来た水晶に当たって折れた。あれもエアの仕業だろうか。

「エアはどこに?」
「ここにはいません。いつものようにどこかをふらついていると思います」
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