女王陛下は溺愛禁止!
「マリオン殿はどうなった?」
「マリオン様も崩落に巻き込まれたのですか?」
 医療官が驚きの声を上げる。

「マリオン様は見つかっておられません。全員が救出されたものと思っておりました」
「そうか」
 ではおそらく、マリオンだけが残されたのだろう。その命を落とした状態で。

 アンジェリアの胸に複雑な思いがわく。
 好青年だと思っていた。レイジェリーナを愛しているのだと思っていた。だが、彼の主張通りであるならば、言うことを聞きそうな王族女性だから愛していたということになるかもしれない。
 そうは思いたくない。ただふたりは愛し合っていたのだと、そう思いたい。でなければ妹が不憫だ。

 彼が長く気付いていなかった王位への欲を掻き立てたのは自分かもしれない。いや、そうであったほうがいい。自分が甥に王位を継がせると言ったあとに気が付いたと言っていた。だから、彼を迷わせたのは自分だ。最初から王位を狙っていたわけではないはずだ。だから彼はちゃんとレイジェリーナを愛していた、はず……。

 とにかくも。
 アンジェリアはベッドを降りた。
 まずは全容を把握しなくてはならない。

「陛下、いけません、まだお休みください」
「あとでいくらでも休んでやる、だから今は行く」
 アンジェリアは毅然と言い放つ。

 医療官と看護官を部屋から追い出し、心配する侍女に手伝わせて着替えを済ませると執務室へ向かった。
 部屋にはすでにラドウィルトがいた。
「お前、起きて大丈夫なのか!?」
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