女王陛下は溺愛禁止!
「どのような?」
 ラドウィルトは席を立ちあがり、ドアに向かって歩いて行く。
 さらに首をかしげるアンジェリアをよそ眼に、がちゃ、とドアを開ける。

「わわわ!」
 引っ張られる形でバランスを崩した三つ編みに眼鏡のメイドが現れ、そのまま、どてん! と床に転んだ。
 すぐさま、がば! と起き上がるが、その隙に背後をラドウィルトにふさがれてもう逃げられない。

「あわわ……」
 メイドはおろおろとうろたえ、どこにも逃げ場を見つけられずに震える。

「この者は?」
「部屋に聞き耳を立てていたようですね。普通に訪問するようにと伝えておいたのですが」
「あー、いつかの変なメイドちゃん!」
 ラドウィルトに続いてエアが声を上げる。

「も、申しわけございません!」
 メイドがぶるぶると震えながら頭を下げる。
「もう二度としません、ですからどうか殺さないでください!」

「スパイならばそれなりの処分を下さねばならん」
 アンジェリアは鋭い目で彼女を射すくめる。

「スパイじゃないです、私は、その……えっと……」
 メイドはもじもじして言葉を続けられない。代わりのようにラドウィルトが説明する。

「彼女はオリーディア・スタンメルス。本業は作家。取材のために王宮のメイドをしているようですよ。作家名はジャスミナ・フィンベル」
「なんだと!」
 がたん、と音を立ててアンジェリアが立ち上がる。オリーディアは震えあがってさらに頭を下げる。
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