女王陛下は溺愛禁止!
「も、申しわけございません! 取材したくてメイドになりました! リアンシェードにいたのも取材でして……こちらには新作のために……」
 最後のほうは小声になり、口の中でもごもごとなにかを言っている。

「だからクライド殿下にそっくりなキャラクターがいたわけですね」
「はい……」
 頭を下げたまま、オリーディアはラドウィルトの言葉を肯定する。

「私がモデルとは」
 クライドがくすくす笑うと、オリーディアはさらに小さく肩を竦める。

「ジャスミナ・フィンベル」
 厳しい声にちらりと顔を上げた彼女は、アンジェリアの険しい目にひっと声をあげた。
 すたすたと近寄るアンジェリア。オリーディアは怯えるが、背後にはラドウィルトがいて逃げられない。

 目の前まで来たアンジェリアの姿がふっと沈んだ。
 よく見ると彼女が自分に跪いており、オリーディアの戸惑いは深くなる。

「おお、溺愛小説の女神よ!」
 アンジェリアは両手を組み、目をきらきらさせてオリーディアを見上げる。

「私は全シリーズを愛読しております」
「え、あ、はい……」
 オリーディアはひきながら答える。

「シンディアール編の続きはどうなるのですか」
「あれはですね」

「ああ、お待ちください、やっぱり作品で読みたい! でも気になる……」
 うう、と頭を抱えるアンジェリアの横にエアがふわふわと立つ。

「君みたいな神は見たことないけど。新たに生まれたの? 初めまして……じゃないなあ、こういうときってなんて言うんだ?」
 エアは不思議そうに空中でくるりと一回転して、オリーディアを驚かせる。
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