女王陛下は溺愛禁止!
「あなたの作品は我が国でも評判でしたよ。ぜひ私と陛下の恋物語を書いていただきたい」
 クライドがにこやかに依頼する。

「いいえ、それだけは絶対にダメです。いいですか、陛下をモデルにするのであれば、最側近である補佐官との恋にするのですよ」
 ラドウィルトが注文をつける。

「ダメだよ、守護神との溺愛ファンタジーだよ」
 エアが断固として言い張る。

 オリーディアはあわあわとポケットから携帯筆記用具を出す。
「えっと、隣国の王子と補佐官と守護神、男の三角関係ですね」
「「「違う!」」」
 同時に三人から突っ込まれ、オリーディアはびくっと震え、アンジェリアはくすっと笑った。

「まったく、陛下を口説く暇もありませんね」
 クライドはため息交じりにつぶやき、アンジェリアの手を引いて立たせる。

「後日、あらためて陛下を落としにきますよ」
「はあ!?」
 慌てるアンジェリアに笑みを向けたあと、クライドはラドウィルトを見る。

「あなたとは正々堂々と勝負したい」
 つまり抜け駆けはするな、という釘さしだ。

「受けて立つ……と言いたいところですが、近侍のメリットは使わせていただきます」
「ほう……? ならば私も王子としての立場をあますところなく利用しよう」
 ラドウィルトとクライドがばちばちと火花を散らす。

「え、俺は眼中にないの」
 エアはショックを受けたようにぼやき、オリーディアは「使える」と言いながら必死でなにかをメモしている。
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