女王陛下は溺愛禁止!
第二章




 翌日の王宮は、舞踏会の準備で儀典局の役人やメイドたちがバタバタしていた。
 朝議を終えたアンジェリアは外交使節団と昼食をとり、午後は書類仕事に励む。
 夕方になると侍女に準備の時間であることを告げられ、仕事にきりをつけて軽食をとった。

 ドレスやティアラなどの装身具については数カ月前から打ち合わせがあり、ドレスは新調し、装身具は既存の物を使うことになっていた。
 目の色のせいか、アンジェリアは幻の青薔薇に例えられることが多い。それに合わせた青いドレス。花をモチーフにしたレースは白から青へのグラデーション。装身具は銀色で統一。さざ波のような組み合わせは女王の爽快な性格を表しているようであり、青薔薇が咲き誇るようでもあった。

 髪をアップに結い上げ、化粧を施され、着替え、装身具をつける。最後に白金に真珠が象眼されたティアラを固定して身支度を終えた。
 九時の開会に合わせて会場に入る。
 儀典局がアンジェリアの登場を告げるとオーケストラが入場曲を演奏し、彼女は背筋をピンと伸ばして歩く。

 会場のみなが頭を下げてアンジェリアを迎えた。
 彼女は玉座の前に立つと、間をおいて悠然と振り返る。と同時に音楽が止んだ。
 静まり返った会場で、毅然と咲く青薔薇の雅びに全員の目が釘付けとなる。

 アンジェリアはしなやかな両腕をゆったりと広げた。
「今宵はみな、楽しんでゆかれよ!」

 声ののちに音楽が始まり、人々は正していた姿勢を崩した。
 アンジェリアが座った玉座の横にはラドウィルトが侍り、アンジェリアに話しかける。

「本日は陛下もダンスを踊られますように」
「拒否権はないのだろうな」
「当然でございます」
 ラドウィルトは慇懃に答えた。
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