女王陛下は溺愛禁止!
「ダンスってなにするの?」
ふいに聞こえた声にアンジェリアは顔をしかめた。隣ではラドウィルトが声の主をにらみつけている。
「大人しくしていろと言ったはずだが」
「大人しいんだから見るだけならいいじゃん」
「その出で立ちでは大人しくしていることにはならぬが」
アンジェリアは目だけで笑った。彼は今日もキトンにヒマティオンという姿で、完全に周囲から浮いている。
「アンジェリアはああいうかっこうがいいわけ?」
「そうは思わぬ。男も女も孔雀ばかりだ」
アンジェリアは憂鬱に会場を見やる。派手な布に金糸銀糸を使った刺繍、大ぶりな宝飾品。着飾った男女は自分を目立たせようとするばかりで目がちかちかする。
その中で、不思議と目を引く青年がいた。見た瞬間、心臓がひときわ大きく鼓動を打つ。
あの挑戦的な姿絵の青年だった。背が高く、黒一色の服に銀のラインが一筋まっすぐに入っている。首元の白いクラヴァット、それを留めるブローチは金の土台に青くきらめく宝石が使われている。セピアの眼差しは力強く、キャラメル色の髪はやわらかに流れる。
彼は女性たちに囲まれ、にこやかに応対していた。
「あの姿絵の者だな」
アンジェリアはラドウィルトに囁く。
「あの者とダンスを?」
「そういうわけではない」
視線に気付いたらしい青年が振り返り、目が合った。彼は甘やかな笑みを浮かべて軽く頭を下げる。
アンジェリアは鷹揚に頷いて見せた。
ふいに聞こえた声にアンジェリアは顔をしかめた。隣ではラドウィルトが声の主をにらみつけている。
「大人しくしていろと言ったはずだが」
「大人しいんだから見るだけならいいじゃん」
「その出で立ちでは大人しくしていることにはならぬが」
アンジェリアは目だけで笑った。彼は今日もキトンにヒマティオンという姿で、完全に周囲から浮いている。
「アンジェリアはああいうかっこうがいいわけ?」
「そうは思わぬ。男も女も孔雀ばかりだ」
アンジェリアは憂鬱に会場を見やる。派手な布に金糸銀糸を使った刺繍、大ぶりな宝飾品。着飾った男女は自分を目立たせようとするばかりで目がちかちかする。
その中で、不思議と目を引く青年がいた。見た瞬間、心臓がひときわ大きく鼓動を打つ。
あの挑戦的な姿絵の青年だった。背が高く、黒一色の服に銀のラインが一筋まっすぐに入っている。首元の白いクラヴァット、それを留めるブローチは金の土台に青くきらめく宝石が使われている。セピアの眼差しは力強く、キャラメル色の髪はやわらかに流れる。
彼は女性たちに囲まれ、にこやかに応対していた。
「あの姿絵の者だな」
アンジェリアはラドウィルトに囁く。
「あの者とダンスを?」
「そういうわけではない」
視線に気付いたらしい青年が振り返り、目が合った。彼は甘やかな笑みを浮かべて軽く頭を下げる。
アンジェリアは鷹揚に頷いて見せた。