女王陛下は溺愛禁止!
「仕方ない、お前が踊れ」
 アンジェリアはラドウィルトに言う。
「よろしいので?」
「迂闊な者では周りがうるさい」
 アンジェリアが伸ばした手をラドウィルトがとる。

 立ち上がった彼女は彼とともにダンスの輪に入った。
 しばらく踊ったののち、ラドウィルトが言う。
「練習をさぼってはおられなかったようですね」
「社交のためだからな」
 アンジェリアは作り笑いを浮かべて答える。

「さすが陛下、お見事ですこと」
「ラドウィルト様も素敵ですわ」
「ラドウィルト様は未婚ですのよね。お近づきになりたいわ」
「無理よ、陛下の愛人で、陛下が結婚をお許しにならないのだとか」
「私は真逆の噂を聞きましてよ。ラドウィルト様が陛下の結婚の候補をことごとく退けておられるとか」
 貴婦人たちの好き勝手な囁きがこぼれる。

 ダンスを終えるとラドウィルトは一礼した。
 直後、アンジェリアに男性が寄って来る。

「陛下」
 かけられた声に、アンジェリアはそちらを見る。
 青地に金糸でびっしりと刺繍を凝らした衣装の男性が立っていた。全身から傲慢さが滲み出ている。

「なにようか」
「リストン王国から参りました、ルッジェーロ・エスキバルと申します。どうぞ、次のダンスをわたくしめと」
 男は優雅にお辞儀をする。
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