女王陛下は溺愛禁止!
「道化と結婚とあっては、確かに問題がありますね」
 ラドウィルトの同意に、アンジェリアは目を細めた。

「もういっそそなたらふたりを夫にしてくれようか」
「なにそれ、面白そう!」
「なんの嫌がらせですか」
 エアが喜び、ラドウィルトが顔をしかめる。

「昼と夜と夫の担当を分けたりしてさあ」
 エアの言葉にラドウィルトがすかさず言う。

「では私は夜の担当ですね」
「夜ってことは、やだ、エッチ!」
 エアはキャーッと両手で顔を覆う。

「冗談にそんなに反応するな」
 アンジェリアはつい想像してしまう。
 カンテラの明かりを頼りに机に向かう自分に、ラドウィルトが大量の書類を持って来るのだろう。甘い夜などまったく訪れる気がしない。

 アンジェリアは机の端に置かれている紅茶を口に運ぶ。
「でもさあ、そう言うってことは、ラドウィルトって陛下のことが好きなわけ?」
「もちろん好きですよ」
 即答され、紅茶を噴きそうになった。慌てて飲み込んだせいで気管支に入ってしまい、げほげほと咳込む。

「好きでなければこれほど誠心誠意、お仕えすることはございません」
 つまりは人として好きだ、ということか。アンジェリアはほっと胸を撫で下ろす。
「誤解をする言い回しをするな。驚くだろうが」
 アンジェリアは胸をとんとんと叩いてしかめっつらを向ける。

「冷徹な陛下を驚かせられたなら一興でございましょう」
「からかうな」
 アンジェリアはうんざりと答える。

「心配させているのはよくわかった。だが結婚についてはまた後日だ」
「なるべく早く良きお答えをいただけますよう」
 婿探しの件はそれで終了し、アンジェリアとラドウィルトは今日の執務に移り、エアは部屋から追い出された。
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