女王陛下は溺愛禁止!
 ラドウィルトは剣をエアにふるった。
 エアはさっとそれを避ける。

「ちょ、神を殺そうとするとかひどい。今本気だったよね?」
「陛下への不敬は許さない」
「そんなつもりないのに」
 エアは不満そうに唇を突き出す。

「良い。道化は発言の自由を許された存在だ」
 アンジェリアは額に手を当てて言い、ラドウィルトは渋々と剣を鞘にしまう。その目はエアを睨んでいる。

「エア、人の命は尊い。むやみと奪っていいものではない」
「奪っていいときとダメなときの基準がわからないなあ」

「神と人の道理は違うのであろう。理解を望みはせぬが、口出しもしないでいただきたい」
「都合のいいときだけ神を崇めて、都合が悪いと口を出すなだもんなあ。嫌になっちゃう」
 すねたようなエアにかまわず、アンジェリアはラドウィルトに言う。

「犯人は必ず捕まえろ。リストンとの外交問題にしたくない」
「かしこまりました」

「クライド殿も帰国されるのか?」
「殿下はしばらく街を視察してから帰られるそうです。高級宿に護衛とともに泊っておられますからめったなことはないと思いますが、お気になりますか?」
「ケガでもされて難癖をつけられたら困る」

 ドアをノックする音が響き、ラドウィルトが対応に出る。
「失礼します。レイジェリーナ様がお越しでございます」
 先ぶれの侍女が一歩を下がるとアンジェリアの妹のレイジェリーナが現れた。
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