女王陛下は溺愛禁止!
「無理強いをすることではないよ。陛下にはよくよくのお考えがあってのことだろうからね」
 彼は魔力を持っているが、儀典局で働く道を選び、先日の舞踏会では取り仕切る側として会を見守っていた。優しい性格で、アンジェリアは彼が妹の夫であることに感謝していた。

 マリオンは血筋などからかつて一度はアンジェリアの婿候補にも挙がった。魔力を失った王族に魔力の血を入れたい者たちもいる。だが、そのころにはすでに彼はレイジェリーナと恋仲であり、叛乱が収まったあとは無事に結ばれた。
「ご配慮、礼を言う」
 アンジェリアはマリオンに微笑を返した。



 アンジェリアは執務を中断して私室に移動し、妹家族とのティータイムを過ごした。
 一時間ほどで彼女たちは帰った。執務室へ戻るため、アンジェリアはエアと護衛を連れて宮殿内を歩く。
「顔もいい、性格もいい、こんな神ってめったにない掘り出し物なのに、どうして結婚してくれないかなあ」
 エアはぷかぷか浮かびながらこぼす。

「そのような軽薄な神は初めて見た」
「俺以外に神を見たことあるの?」

「壁画で見る程度だな」
「じゃあ生で見るのは俺が初めてなんだ。初めての相手……いい響きだ」

「誤解を生む発言は控えよ」
 アンジェリアは苦笑した。

 その先の外に面した開放廊下で話をしている男性ふたりを見かけて彼女は立ち止まる。
 反女王派の貴族たちだ。貴族だけで政治を行うべく実権を奪う画策をしてはラドウィルトに阻止されている。
 彼らは背を向けて佇んでおり、まだ彼女に気付いていない。
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