女王陛下は溺愛禁止!
「舞踏会はひどかったな。男を面罵する女が王だなんてこの国も終わりだ」
「とかいって、婿に立候補して姿絵を送っただろ」

「貴族であり資質があるならば可、なんていうゆるゆるの条件だったからな。しがない子爵が王族に伸し上げるチャンスだ、逃がす手はない。お前だって送っただろ」
「まあな。最高の絵師に描かせたんだ。陛下は俺に会いたくて仕方なかっただろうよ。リントンの自称王族が騒ぎを起こさなきゃ、今頃は俺が王配だったぜ。一度でも寝れば俺の虜だ」

「お前のお粗末なもんで満足できるかよ」
 男たちはアンジェリアがいるとも知らずに下品な会話をしている。

「アンジェリア、怒る?」
 エアはこわごわ彼女の様子を窺うが、彼女はあきれたように苦笑しているだけだった。
 そこへ通路の曲がり角からラドウィルトが現れた。

「これはこれは、ラドウィルト殿」
 貴族のふたりがうやうやしくラドウィルトに頭を下げた。

「陛下のご機嫌はいかがでございますか」
「陛下におかれてはご機嫌麗しくお過ごしであられる。ご心配なきよう」
 ラドウィルトは無表情で答える。

「陛下はご休憩はどちらに行かれるので?」
「それを聞いていかがなされるおつもりか」

「いやあ……なあ」
「なあ」
 ふたりの貴族は顔を見合わせてごまかすように笑う。

「口説きに行きたいのやもしれませぬが、小細工をなさる暇があるなら御政務に励まれますよう。陛下は仕事のできない男には見向きもされませぬゆえ」
 ラドウィルトの飾らない助言は男たちのプライドを傷つけたようだった。
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