女王陛下は溺愛禁止!
「あのようなおっしゃりよう、陛下が夜に奔放であるかのように思われてしまいます」
「そのほうが男が寄らぬ。男は貞淑な女が良いのであろう?」

「陛下は事情が異なります。一夜の相手であれどもと願う輩は多うございましょう」
「まったくめんどくさい。ラドウィルト、いっそ私と偽装結婚でもするか?」

「ええ!? ダメだよ!」
 エアは大袈裟に驚いて止める。
「ご命令とあらば」
 ラドウィルトはかしこまって答え、アンジェリアは軽く眉を上げた。いつもなら冗談でも断る彼が、珍しい。

 彼はそのままアンジェリアの腰を抱き、顎を持ち上げる。目には見たことのない艶が漂い、アンジェリアはどきっとした。
「なんならこのままキスをして差し上げましょうか」
 アンジェリアは彼の手を払いのけ、一歩距離をとる。

「なにをする!」
「冗談でございますよ」
 ラドウィルトの微笑に、アンジェリアは顔をしかめる。

「たちのわるい返しをするな」
「では、たちの悪い冗談をおっしゃるのをおやめください」
 もっともな言い分に、彼女はむすっとした。

「慌てるなどすればかわいげがあるものを」
「申し訳ございません」
 律儀な謝罪にアンジェリアはため息をこぼす。

「執務室に戻る」
「かしこまりました。私は打ち合わせがありますので失礼いたします」
 執務室に戻ったアンジェリアはエアを締め出してひとりきりになる。
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