女王陛下は溺愛禁止!
クライドが待つ部屋の扉の前で、アンジェリアはふとラドウィルトに尋ねる。
「今の私のかっこう、変ではないよな?」
「どこもおかしくございません」
「ならいい」
アンジェリアが言うと、ラドウィルトは口の端を上げた。
「クライド殿下を少しは意識してらっしゃるようで」
「身だしなみに気を付けただけだ」
アンジェリアはつんを顔を逸らし、ラドウィルトは苦笑してからドアをノックする。
返事があって、ラドウィルトがドアを開け、アンジェリアが中に入る。
中ではクライドが壁の絵を眺めて佇んでいたが、彼女を見て甘やかな微笑を浮かべた。
アンジェリアはお辞儀をしてから述べる。
「こたびは我が国で危険に見舞われたとのこと、大変遺憾に思います」
「お気遣いありがたく存じます。事態は残念ではあれど、再度お目通りかないましたことについては暴漢に礼を述べたい心地でございます」
「それはそれは奇特な」
アンジェリアは微笑を返す。
クライドはさりげなくアンジェリアに近づいた。
「今日も陛下はお美しくていらっしゃる。……いえ、失礼、このような凡庸な言葉では陛下を表現できますまい」
アンジェリアは微笑を崩さない。
「犯人につきましてはなんとしても突き止めますゆえ」
「心強いお言葉でございます。陛下におかれましてはしかとお約束いただけることでしょう」
言ってから、クライドは挑戦的な、それでいて蠱惑的な目でアンジェリアを見る。
「保護のお申し出を受けたおりにはお断りいたそうかと思いましたが、こうして陛下にお目通りがかないました今、受けて正解であったと思っております」
アンジェリアの頬がひきつった。なんだか話が望まない方向にいきそうだ。