女王陛下は溺愛禁止!
「なんかすごい好きらしくてさ、その人が登場するたびに悶えてたよ」
 いつの間に見られたのか、と彼女は焦る。
「ど、道化の申すことゆえ、お気になさいませんよう」
 クライドはやわらかく笑んでアンジェリアを見る。

「意外におかわいらしいところがおありで」
「道化のたわごとでございます!」
「ひどい。事実しか言ってないのに」
「エア、控えよ」
 エアは不満そうにラドウィルトを見た。が、その目に浮かぶ殺意に気付き、思い切り口をつぐむ。

「し、庶民の娯楽を確認したまででございます」
 アンジェリアが言い繕うと、
「もちろん、そうでございましょうとも」
 本気にした様子もなくクライドが答える。

「こ、このことはだからよそでは言わないでいただきたく……」
「承知いたしました」
 言ってから、クライドはアンジェリアの耳元に口を寄せる。

「このようなかわいい陛下をわたくしが独り占めできるとなればなおさら」
 アンジェリアはばっと身を引いて距離をとってクライドを見た。
 彼の甘い眼差しに耐え切れず、アンジェリアは目を逸らす。

「晩餐には殿下もご参加いただけますよう、お願い申し上げます。陛下にはこのあとも御政務がございますので、よろしいでしょうか」
 牽制するようなラドウィルトに、クライドはにやりと笑った。
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