女王陛下は溺愛禁止!
「承知いたしました。ではまた今宵、お会いしましょう」
「ではまた」
 アンジェリアは無表情を装い、ラドウィルト、エアを伴って退室した。
 扉が閉まるのを見届け、クライドはくすくすと笑う。

「なんと、意外に少女のようなお方だ」
 男を侍らせて楽しんでいるという噂もあったが、あの様子ではまったくのデマだろう。
「思ったよりも早く落とせるか?」
 クライドは笑みに目を細めた。

***

 夜、自室に戻ったアンジェリアは疲れのあまりに長椅子に寝そべる。
 晩餐はクライドを交えて行われ、外交の場となった。
 明日の昼餐(ちゅうさん)もクライドが同席するという。めんどくさいことこの上ない。

「あいつ、どういうつもりだ」
 早く帰ってもらいたいが、宣言通りにしばらく居座りそうだ。

 王子としてもてなさなくてはならないし、となると相応の身分の者が対応しなくてはならない。
 レイジェリーナに打診したところ、城に滞在しての対応を承諾してもらえた。元王族で大公子妃の接遇であれば不足はないだろう。

 アンジェリアとの接触を減らして結婚の意志がないことを示すつもりだ。
 だが、と思う。
 客観的に考えた場合、彼ならば王配として申し分がない。見た目も美しく仕草も上品で身分もつり合いが取れる。四歳程度の年の差は政略結婚ならばよくある年齢差だ。リアンシェードは交易の重要な拠点である湾を共有する大国でもあるから、和平の存続は誰もが望むところだ。
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