女王陛下は溺愛禁止!
王女として生まれた自分は恋愛での結婚は望めないのだと教育されてきた。父が生きていたころはその覚悟を持っていたように思う。
謀反を制圧してからは、結婚はしないと決めた。
だというのに周囲はあきらめてはくれず、一番の臣下であるラドウィルトですら理解してくれず結婚を勧めて来る始末だ。
もしかしたら理解しているからこそなのかもしれないが、それはやるせない。
思い返す記憶は苦いものが多い。
一番大きなものは叛乱だが、その残党の処遇にも頭を悩ませた。いまだに叛乱で家族を殺された恨みをアンジェリアに向ける庶民もいるという。
彼と長い時間を共有して来た中には楽しい思い出もある。
最初こそぎこちなかったふたりだが、時間とともに打ち解け、年老いた父の忠臣が宮廷から去った今では一番に信頼できる部下だ。
くだらない軽口は心まで軽くしてくれたし、彼の支えがあったからこそ今までやってこられた。
一緒に苦境を超えて来た彼にこそ理解してほしい。
だが、とまた思う。
逆に考えてみて、彼が結婚しないと宣言したときに、自分はすんなり受け入れるのだろうか。
……おそらくは、受け入れるだろう。
心のどこかで同士のように思っている。彼もまた自分と同じ罪悪感で独身を貫いている錯覚に陥るときがあり、それもまた彼が同士である気分を深くさせた。
彼が結婚したら今までと同じではいられない。妻を、のちのちには子どもを大事にしなければならない。つききりで仕事をすることなどなくなるだろう。
「それは少し不便だな……」
もやもやしたものが生まれる。不便よりももっとふさわしい言葉が存在すると思えるが、どうにもそれを探り当てたくない。
とにかく、とアンジェリアは考えを断ち切る。
まずはクライドにあきらめて国に帰ってもらう。考えるのはそれからでも遅くはない。
謀反を制圧してからは、結婚はしないと決めた。
だというのに周囲はあきらめてはくれず、一番の臣下であるラドウィルトですら理解してくれず結婚を勧めて来る始末だ。
もしかしたら理解しているからこそなのかもしれないが、それはやるせない。
思い返す記憶は苦いものが多い。
一番大きなものは叛乱だが、その残党の処遇にも頭を悩ませた。いまだに叛乱で家族を殺された恨みをアンジェリアに向ける庶民もいるという。
彼と長い時間を共有して来た中には楽しい思い出もある。
最初こそぎこちなかったふたりだが、時間とともに打ち解け、年老いた父の忠臣が宮廷から去った今では一番に信頼できる部下だ。
くだらない軽口は心まで軽くしてくれたし、彼の支えがあったからこそ今までやってこられた。
一緒に苦境を超えて来た彼にこそ理解してほしい。
だが、とまた思う。
逆に考えてみて、彼が結婚しないと宣言したときに、自分はすんなり受け入れるのだろうか。
……おそらくは、受け入れるだろう。
心のどこかで同士のように思っている。彼もまた自分と同じ罪悪感で独身を貫いている錯覚に陥るときがあり、それもまた彼が同士である気分を深くさせた。
彼が結婚したら今までと同じではいられない。妻を、のちのちには子どもを大事にしなければならない。つききりで仕事をすることなどなくなるだろう。
「それは少し不便だな……」
もやもやしたものが生まれる。不便よりももっとふさわしい言葉が存在すると思えるが、どうにもそれを探り当てたくない。
とにかく、とアンジェリアは考えを断ち切る。
まずはクライドにあきらめて国に帰ってもらう。考えるのはそれからでも遅くはない。