女王陛下は溺愛禁止!
第三章

 庭師の端正した(つる)薔薇が四阿(あずまや)の白い柱に巻き付き、繁る緑を引き立て役に薄桃色の花が艶やかに咲いている。八重に重なる花びらは肉厚で、中心にいくほど紅が濃い。
 華やかな芳香はいつもなら心まで華やかにしてくれるのだが、今日に限ってはそうはならない。

 四阿に設置されたテーブルで、アンジェリアは不機嫌を隠そうともせず客を待つ。
 ラドウィルトが控えているが、同席するわけではない。エアはくっついてきて帰らないので仕方なく侍らせている。

「感情はお隠しくださいませ」
 アンジェリアはじとっとラドウィルトを見る。
「数少ない休憩時間を削られて平然となどできぬ」
 クライドの滞在が決まったおかげで予定が狂った。今まではひとりで楽しんでいたお茶の時間をクライドとともに過ごさなくてはならない。

「できぬものをしていただかなくては困ります」
「まだここにはおらぬのだ。その間くらいは許せ」
 むすっとして答える。

「人間って不便。俺と結婚して神の眷属になればこんな不自由から逃れられるよ!」
「ほう?」
 アンジェリアが目を向けると、エアは顔を輝かせた。

「興味持ってくれた?」
「眷属になるとは、どういうことだ?」

「神と同列になるってこと。永遠の命が手に入るよ!」
「神の力は得られるのか?」

「それは無理」
「つまらぬ」
 即答され、エアはショックを受けた顔をする。
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