女王陛下は溺愛禁止!
「お待たせいたしました」
「呼びつけて申し訳ない。紹介するから、今日から王子殿下の相手を頼む」
「いいえ、姉上のお手助けができるのでしたら」
 レイジェリーナはにっこりと笑う。

「城内での対応を頼む。昼間は街へ視察に出るというから、主に夕刻からだな。まったく厄介なことになった」
「そのようなおっしゃりよう……姉上らしいですが」
 あきれたレイジェリーナだが、ふと話題を変えた。

「この四阿でお茶をするのも久しぶりですね」
「そなたがお子を宿してからというもの、お茶は控えていたものな」
 アンジェリアは懐かしいものを見るように目を細めた。

「ここにお呼びになるということは、クライド殿のことはお気に召されたのですか?」
「いや、ほかに場所がないだけだ」
 アンジェリアは即座に否定した。庭にはいくつかの四阿があるが、すべてに家族の思い出がある。

「もしや年下がお好みなのかと思いましたのに」
「そうではない」
「遠慮なさる必要はございません」
 含み笑いで返され、アンジェリアは仏頂面になった。

「あの方、結婚相手としては申し分ございませんわ」
「私のような冷酷な女よりふさわしい女性がいるだろうよ」
「強情であられる」
 あきれたレイジェリーナにアンジェリアは肩をすくめた。

「ねえ、お菓子、食べていい?」
 空気を読まないエアがそわそわと尋ねる。いつもと変わらない彼になんだかほっとする。
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