女王陛下は溺愛禁止!
「道化が同席するのですか」
「許されよ。貴殿に興味があるようだ」
「興味っていうか、恋のライバルだし?」
 エアの言葉にクライドはふっと笑みをこぼす。

「まことに面白き道化でございますな」
 アンジェリアはそつのない笑みを返して着席を促した。
 侍女は紅茶を淹れて配ったあと、護衛やメイドとともに少し離れたところで待機する。

 クライドとはたわいもない雑談を交わす。結婚はせずとも親交を深めておくメリットは大きい。
 たとえば国内の有力貴族の娘と彼が結婚したならば、と計算を始める。ラドウィルトに命じてリストアップをさせて、国内にいる間に引き合わせようか。女王が仲をとりもったとなればクライドとしてもリアンシェードとしても面目が立つだろう。

 途中、政務官が来てアンジェリアはラドウィルトとともに席をはずした。
 エアがついてきたから追い払い、仕事の話をしてから席に戻る。
 追い払われたエアはすねていたが、レイジェリーナとクライドはなごやかに歓談を続けていてほっとした。

 エアの引っ掻き回す発言にひやひやしながら、お茶会はなんとか無事に終了を迎えた。
 翌日からは政務に戻り、クライドは自前の護衛に加えてアンジェリアのつけた護衛に囲まれて街の視察に出掛けた。身分を隠してのお忍び視察だったが、護衛の多さにすぐにバレそうだ。

 帰ってきたクライドから面会を求められたため、面倒に思いながらもラドウィルトを伴って彼の部屋を訪れた。
「お供がご一緒でいらっしゃいますか」
 出迎えたクライドにアンジェリアは笑みを返す。

「妙な噂が立っては殿下の評判に傷がつきますゆえ」
「傷どころか名誉となりそうですが」
 余裕の笑みを返され、どきっとした。薄暗い室内が輝いた錯覚に陥り、アンジェリアは無表情を心がける。
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