女王陛下は溺愛禁止!
 おそらくは花瓶だっただろうそれは粉々となり、衝撃の強さを物語っていた。頭に当たっていたら怪我ではすまない。
「なぜこんなものが」
「人影は見かけませんでした。気付いたときには手すりの花瓶が落ちてくるところでした」
 クライドが指さす先にはひと気のないベランダがあった。

「陛下!」
「アンジェリア!」
 ラドウィルトとエアが駆け付け、ラドウィルトは心配そうにアンジェリアに目をやる。

「ご無事で?」
「クライド殿下のおかげでけがはない」
「礼を申し上げます」
 ラドウィルトが頭を下げると、クライドは笑んで頷いた。

「危なかったねえ。人間ってこれが当たった程度で死ぬんでしょう?」
 エアがかけらを蹴飛ばす。
「神を自称するのであれば、これくらいのことは予知して防げ!」
 アンジェリアが文句を言うと、エアは傷付いたふうに胸を押さえる。

「やつあたり、ひどい。神ってのは人間にとって都合のいい万能な存在じゃないんだよ!」
「ならば、神の力で事故か故意か判別したり、故意なら犯人がわかったりせぬのか?」
「わかるわけないじゃん」
 エアは威張るように胸を張って答える。

「そうでございましょうね」
 ラドウィルトが応じると、エアはむっとした顔をした。
 アンジェリアは頭上を見る。

 事故か、故意か。故意ならば狙ったのは自分かクライドか。
 どちらにしろ調べる必要がある。
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