女王陛下は溺愛禁止!
 あるいは、申請せずに魔力を隠し持っている者がいるのかもしれない。そうなると捜索は困難を極める。
 会議の時間になると、アンジェリアはラドウィルトを伴って議場へと向かった。
 会議室の入口の両側に控えた兵士が、彼女を見て扉を開ける。
 兵士が先に一歩を踏み入れ、女王の来場を大音声で伝える。

 議会の議員たちが一斉に立ち、アンジェリアが玉座に腰を据えると議長の掛け声で彼女に一礼して席に座る。
 今日の議会では新たな法律に関する議論が主に行われ、アンジェリアは議論の内容に耳を傾け、ときとして質問をし、審議は一週間後に持ち越しとなった。
 最後にアンジェリアの結婚についての議題が上がり、彼女は眉を寄せる。

「クライド殿下が長く逗留されておられますが、婚約を考えてのご滞在であらせられるのでしょうか」
「そうではない」
 直接の否定に、議場がざわめく。

「しかし、すでにご婚約の噂が市中にまで流れております」
「新聞もゴシップ紙も殿下の姿絵をつけて飛ぶように売れているとか」
 いくつかの声に隠れ、隣の議員への囁く男がいる。

「うちの妻もクライド殿下の似顔絵目当てで何社もの新聞を買って来て」
「うちもだ。顔がいいというだけでまったく。女どもはいつもそうだ」
「銀髪の道化が愛人だと聞いたが」
「愛人と見せかけた間者だと聞いたぞ? あちこちに現れては監視していると」
「女は姑息だな」

 アンジェリアはうんざりと議場を見やる。
 議員は全員男で、男女差別のいまだ大きなこの国では女性が議員になる権利すらない。アンジェリアが女性の権利を広げようにも圧倒的多数である男性議員たちによって阻まれる。
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