女王陛下は溺愛禁止!
 この中でよくも自分は女王でいられるものだと感心する。初代も女王であり過去に何人かの女王は存在するが、彼らの中ではそれらはあくまで例外なのだ。
「結局は男どももゴシップに興味津々だな」
 ひとりごちた呟きは小さくて、誰の耳にも届かない。

 アンジェリアは立ち上がった。
「この際、正式に言っておく」
 議場がいっきに静まった。すべての目が女王を見つめ、次の言葉を待つ。

「陛下、なにを」
 止めるラドウィルトに構わずアンジェリアは口を開く。

「私は一生誰とも結婚する気はない!」

 議場にどよめきが走り、議員の一部が立ち上がって叫ぶ。
「それが許されると思っているのか!」
「この国を滅ぼす気か!」
「世継ぎがいなければどうなるか!」
「女はこれだから! 他国に付け入る隙を与えることになるぞ!」
 荒れる議場に、アンジェリアは冷たい笑みを浮かべる。

「なんということを」
 ラドウィルトの言葉に振り返ると、彼は青ざめてアンジェリアを見つめ返す。

「後継を明確にせぬままのご発言、荒れることはわかっておられたでしょうに」
 万が一にでもアンジェリアが死んだ場合には、現在の継承順位が一位であるレイジェリーナが王になるが、正式な決定と立太子の儀式はしていない。優しいレイジェリーナに政治は向いていないというアンジェリアの配慮だった。

「ゴシップを消すにもこのほうがよかろう」
 議場には女王への非難がごうごうと沸き起こり、議長はおろおろと静粛を訴えかけている。
 ラドウィルトは顔をしかめ、一歩を踏み出す。
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