女王陛下は溺愛禁止!
「もし私が」
 ラドウィルトがいつになくためらったように言葉を切るので、アンジェリアは怪訝に彼を見た。
「私が本当に王配への名乗りを上げたらいかがされますか」
「はあ!?」
 アンジェリアはこれ以上はないくらいに目を見開いて彼を見た。

 ラドウィルトに冗談を言っている様子はなく、真剣な顔をしている。
 その目にこもる熱に、アンジェリアは怯んだ。

 この眼差しには覚えがある。
 レイジェリーナやマリオンがお互いを見つめるときの眼差しだ。
 それは時としてすべてを焦がし、自身を焼き尽くしても燃え尽きないことすらある炎。

「頭を冷やせ」
 アンジェリアは目をそらす。

悩乱(のうらん)するほどに心労をかけていたことは謝る。今一度、結婚については考えてみよう」
「その際には私とのことも考えていただけますか」

「私のために仕方なく立候補しただけだろう? 無理をする必要はない。私を試すな」
「陛下!」
「そうだ、お前が先に結婚してみせよ。さすれば私も結婚を良きものと思い、相手を真剣に探すやもしれぬぞ」
 冗談にまぎれさせ、アンジェリアは笑う。

「そうではなくて!」
「愛は人を惑わせ、道をたがわせる。私がそう考えていることはお前も知っているだろう」
 ラドウィルトにかぶせ、アンジェリアは言う。

「ですが、愛に焦がれておいでであることも存じております。妹殿下の愛に溢れたご家庭に安堵なされているのも存じております。ただご自身についてだけは否定されておられる」
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