女王陛下は溺愛禁止!

***

 与えられた部屋のふかふかのベッドでまどろんでいたエアは、夢の中でアンジェリアの様子を見ていた。
 彼が今見ているのは夢であって夢ではない。現実を映し見ている。

 会議ではアンジェリアが独身宣言をして荒れていた。
 ラドウィルトが場を収めようとしていたが、むしろ悪化。

 その後は彼が王配に名乗り出て驚いた。が、アンジェリアに本気にされておらず、エアはくすっと笑う。
 アンジェリアのことは彼女が子どものころから見ていた。
 無邪気だった彼女が政治の場で必死に女王をしているのはかわいそうで、いつか助け出したいと思っていた。

 ラドウィルトにしろクライドにしろ、神である自分には敵ではない。
 いつでもたやすく排除できるからこそ、現状を楽しんでいる。
 アンジェリアは今でもかわいくて、すぐにでもさらって天界へ連れていきたい。

 だが、それはいつでもできること。
 もどかしさも恋の楽しみのひとつ。
 デザートは最後に食べるから至福なのだ。

 夢から覚めたエアはベッドから降り立つとぱちんと指を鳴らす。それだけで新しいキトンとヒマティオンを身に纏うことができた。
「慰めてあげるよ、大好きなアンジェリア。最後は必ず俺のものになる」
 くすくすと笑いを零し、エアはまたぱちんと指を鳴らす。
 姿は掻き消えて、部屋には誰もいなくなった。
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