女王陛下は溺愛禁止!
「こんなにも都合よく語る男、本人以外にありえないだろうな」
 アンジェリアは呆れて零す。
「あ、ひど……。傷心の俺に暴言吐くとか」
 青年は傷ついたと言わんばかりに目をぎゅっと閉じて両手を胸に当てる。

「しかし私は愛を誓ってはいないのだがな」
「神に身を捧げるって言ったじゃん」

「お前に身を捧げるとは言ってない」
「神をお前呼ばわりってひどい」
 彼はまた傷ついたように胸をおさえる。が、気を取り直したようにアンジェリアを見る。

「神に身を捧げるんなら俺に結婚を申し込んだも同然じゃん。俺達夫婦だよ、早く愛し合おうよ」
 アンジェリアに抱きつこうとした青年は、ラドウィルトに剣をつきつけられ、顔をひきつらせる。

「まず名を名乗れ」
「エアだよ」
(まこと)の名ではないな」
 アンジェリアの指摘にエアはにやりと笑う。

「真の名を知られると支配されるという呪縛のせいですか?」
「おそらくそうであろう」
 神話にある神の名は人が名付けたものでしかない。
 かまわずエアは言う。

「俺と結婚したらすっごく溺愛してあげる。だから、ね?」
 ご機嫌を伺うように上目遣いをする姿は神とは思えないほどかわいらしく、承諾してしまいたくなる。が、アンジェリアは首を振った。
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