女王陛下は溺愛禁止!
「変と言えば、変なメイドがうろちょろしてたなあ」
 エアの言葉に、ラドウィルトは目を向ける。

「どのような」
「かわいい子なんだけど、眼鏡してて、いつもおどおどしてるんだよね。神の俺に対して失礼だから驚かしてやったら面白かった」

 ラドウィルトの脳裏に、階段から落ちかけたときに見かけたメイドの姿が蘇る。
 確証などなにもないのだが、やはりあのメイドは気になる。
 すでに調べるように手配していたから、今夜にでも簡単な報告があるかもしれない。



 アンジェリアとともに意識のないクライドを見舞ったのち、ラドウィルトは自室へ戻った。
 彼は宮殿内に部屋を用意されており、アンジェリアの召喚があればいつでも参上できる態勢となっている。

 夕方に届けられた書類を漁ると、その報告書が出て来た。
 気にしていたメイドは名をオリーディア・スタンメルスという。城内の清掃を担当する下級メイドだ。
 彼女は三カ月前までリアンシェードの王宮でもメイドをしていたという。親が病気になったので帰国してソルディノアノスのメイドとなったというが、不自然だ。

 親が病気になったなら、もっとそばにいられる仕事に就くのではないだろうか。どうして王宮のメイドに。経験があるからなのか、貴族に見初められるのを期待したのか。

 いや、それならばもっとめかし込んでいることだろう。実際、ラドウィルトもめかしこんだメイドにつきまとわれて秋波を送られたことがある。

 報告によると、このメイドはときおりぶつぶつとつぶやきながらメモしているという。王宮マニアを自称しており、隣国の王宮で働いていたのは興味があったからだとも記されていた。だが、ラドウィルトはそれで納得していい立場にない。
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