飴ちゃん食べる?~よろしく焼肉ホスト部♡
 お昼前、同じ学年のカワイイ系男子を接客した後に、天野スミス唯のところへ。

「大量注文入ったんだってね? 私も一緒に焼くよ。体調は大丈夫?」
「大丈夫や……俺、接客よりも肉を焼いてる方がラクやわ」

 黙々と肉を焼くふたり。

「なぁ、栗谷川……」
「何?」
「男相手に接客して欲しくないんやけど……」
「……突然、何?」

 私は肉から視線を外し、彼を見る。

「これからの時間は、俺と一緒に肉を焼こうや」
「どうして?」

 だんだんと天野スミス唯の表情が険しくなってきた。

――何? 怒りだした?

「だから……栗谷川が他の男といちゃいちゃしてるの、腹立つんだよ」

 私は驚きすぎて、開いた口がふさがらなかった。

 私は基本、行動を制限されるのは嫌だ。
 むちゃくちゃな命令をされるのも、いい気分はしない。

 だけど――。

 胸の辺りがキュルンと、可愛い音が鳴った。
 これって、ヤキモチをやいてくれているんだよね?
 
 天野スミス唯に気持ちをぶつけられて、うれしさが込み上げてきた。

「うん、分かった」

 私はこの時間から店じまいするまで、誰に何と言われようと、天野スミス唯と一緒に肉を焼き続ける――。
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