別れた警視正パパに見つかって情熱愛に捕まりました
 その後ふたりは結婚。母も会社を辞め同居する祖母と共に店を切り盛りするようになった。
 丁寧な接客と温かみのあるアレンジが評判で、駅から離れた場所にもかかわらず地元の人たちを中心に愛される花屋になった。
 その後佳純が生まれ、岡本家は家族四人で忙しいながらも幸せに暮らしていた。

 しかし、佳純が小学六年生の時に母ががんで亡くなってしまう。
 母をとても愛していた父の悲しみは見ていられないほどだった。それでも父は母の分までがんばると言って店を続けてきた。
 
 佳純も祖母とともに家や店の手伝いをしてきたがさらに不幸が起こる。高校二年生の夏、父が車での配達中に交通事故に巻き込まれ、そのまま帰らぬ人となってしまったのだ。
 
 ラチルスは突然の閉店を余儀なくされた。佳純は大学進学を諦め、高校卒業と同時に今の勤務先に就職し独り暮らしを始めた。
 店は無くなってしまったけれど、せめて自分は両親の愛した花に関わる仕事をしていたかったのだ。

 祖母は父の弟で佳純の叔父である岡本正志(まさし)夫婦の家で暮らすことになった。
< 7 / 233 >

この作品をシェア

pagetop