別れた警視正パパに見つかって情熱愛に捕まりました
 迷惑ではないかと思ったが遠慮をしている状況ではなかったので、図々しく甘えさせてもらった。

 アパートを借り移り住んだ佳純は、だんだん大きくなるお腹を抱えながら必死に仕事を覚え、出産後は産休をとってから復職している。

 逃げるようにあの場所から離れてもうすぐ4年。今、佳純は28歳になっていた。

 退勤した佳純は速足で保育園へ向かう。自宅と職場と保育園がすべて徒歩圏内なのは非常に助かっている。車がないので雨の日や荷物が多い日はなかなか大変だけれど。

 徒歩十五分ほどで保育園に到着し、門のオートロックを開錠する。
 園庭ではおおぜいの子供たちがおもいおもいに遊んでいる。その中に我が子の姿を見つけ佳純は手を振った。

大輝(だいき)!」

 砂遊びをしていた小さな男の子はこちらに気付くと、満面の笑みで駆け寄ってくる。

「ママー!」

「ただいまー大輝」

 佳純はわが子をしゃがんで抱きしめる。小さく柔らかい存在が、仕事の疲れを一気に吹き飛ばしてくれた。

 先月3歳になったばかりの大輝は、佳純のなによりも大切な存在だ。

「手を洗ってから、おしたくしようか」

「うん」
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