あの子の成績表
仮病
その夜のことです。
私はうんうん唸り声を上げて布団の中で何度も何度も寝返りをうちました。
「ちょっと、どうしたん?」

佳苗ちゃんが気がついて豆電球をつけて様子を診てくれます。
私は体を曲げてお腹を押さえ、うんうんうなってしかめっ面を続けます。
「大丈夫? お腹痛いんか!?」

佳苗ちゃんに揺さぶられても私は演技をやめません。
これが緊急事態だと思ってもらわないといけないからです。
「大変や! 誰か! 誰か来て!」

佳苗ちゃんがドアへと飛んでいきますが、そこには鍵がかけられています。
私達が勝手に逃げ出さないようにです。
「誰か来て! お願い!」

佳苗ちゃんがドンドンと内側からドアを叩いていると、人の足音が近づいて来ました。
私は尚更に大きな声でうんうん唸り声をあげます。

布団の中をゴロゴロと転がり周り「痛い、痛い」と呟きました。
すると中にあの女の人が入ってきて、私に近づいて来ました。
女の人はすぐに「医務室につれていく」と佳苗ちゃんへ言うと、私の体を抱き上げました。
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