あの子の成績表
マイナス100
『連れて行かれた先で本人が頑張らないと、戻ってくることはできない』
用務員さんの言葉を何度も何度も思い出してあまり眠れない夏休みになってしまいました。

穂波はどこへ連れて行かれて、なにをさせられているのか?
それは用務員さんでも知らないことでした。
それならやっぱり先生に質問しに行こうかと思ったんですが、用務員さんに強く止められてできませんでした。

きっと、成績表の秘密に気がついてしまったことで、ただじゃおかなくなるんでしょう。
そうなったら『人間的評価』が一気に下がってしまうのかもしれません。

用務員さんはそれくらい必死になって私と正樹を止めましたから。
でもこれまでの行動のおかげで色々と見えてきた部分はあります。
穂波を助けるための次の行動も、実はもうこのときに決まっていました。

「正樹、私2学期で『人間的評価』をマイナス100にする」
夏休みが終わる前日の夕方です。
私は公園に正樹を呼び出してそう宣言しました。

2学期が始まるギリギリになってこんなことをしたのは、自分の決意が揺らがないようにするためです。
私達の門限まであと30分を切っているから、正樹が私を説得したとしても時間が足りなくなると思ったからです。

「本気で言ってんのか?」
夕方の公園は子供たちが少なくなりますから、正樹はペットボトル爆弾を持ってきてしました。
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