あの子の成績表
砂場で試してみるつもりなのでしょう。
「うん。だって、そうしないと穂波に会えない」
私はベンチから伸びている自分の長い陰を見つめて言いました。

隣の正樹の顔を見ると、やっぱりちょっとだけ気持ちが揺らいでしまいそうだったからです。
「危険かもしれないぞ? いなくなった子たちは戻ってきてないんだから」

「だけど死んだとは言わなかったよね? きっとみんな生きてる。そこで頑張って戻ってこようとしてるかもしれない」
そうであってほしいという願いを込めて言いました。

いなくなった先で、帰れるように努力していてほしい。
そうすれば、私も探していたことを後悔しないことでしょう。
「そりゃ、そうだけど……」

正樹が砂場へと向かいました。
ペットボトルを砂の中に埋めて、なにやら準備したあとすぐに砂場から離れました。

それから10秒ほど経過したとき、砂の中からバンッ!と弾ける音がして砂が四方八方に飛び散りました。

砂の中からは破裂したペットボトルが顔を出しています。
「すごいじゃん。今までで一番の威力じゃない?」
「おう。だんだん強くしていってるんだ」

「そっか。本格的な爆弾はどうなったの?」
「そっちも順調。でも、試してみる場所はないかもなぁ」

正樹が砂場へと戻っていきます。
私はオレンジ色に染まるその背中をジッと見つめました。

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