無気力な王子様は、今日も私を溺愛したがる


「うん、もちろん。またね、お母さん」



私も笑顔でお母さんに手を振る。


そして、瞬く間にお母さんは車に乗って行ってしまった。


またね、お母さん……。


私はもう一度心の中でそうつぶやいて、お母さんの車が見えなくなるまで見送ってから、玄関の前にたった。


そして、ドアノブに手をかけ、思い切って戸を開ける。



「お、お邪魔します……!!」



いくら自分の家になるとはいえ、見知らぬ家に入っているものだから、そう言わないと妙に落ち着かない。


玄関にはまだ靴は置かれていなくて、家の中からなにか物音がするわけでもない。


……まだ相手の人は、来ていないのかな?

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